うえのえきじゅうさんばんせん
上野駅十三番線
ヒラノエクスプレス：作詞／上原 げんと：作曲
（元歌＝港町十三番地＝石本 美由起：作詞）
長い旅路の乗り継ぎ終えて
夜行列車も入る頃
鐵の編成記録の度に
みんな忘れる心の駅の
ああ 上野駅十三番線
昼なお暗い舗石ホーム
独り歩くも久しぶり
響く汽笛に誘われながら
階下通路を左に曲がりゃ
ああ 上野駅十三番線
昔普通の青森行きで
北を目指した汽車も出た
〔十和田〕〔津軽〕に〔八甲田〕〔おが〕
今じゃテクノの電車が巣立つ
ああ 上野駅十三番線
注：美空ひばりさんの名曲を借りて鐵＝鉄道マニア＝的視点にした歌。元歌は、実際の港を歌っていない架空の光景（レコード会社の工場が川崎市の港町という地名の土地に所在していたのに基づいて作られていた）なのに対し、こちらは実在の光景を歌っているものだという点ではどうだ、と言えるものである。なにしろ、１３番線というのは一階部分の二階に対する最も階下に食い込んだ位置にあってまさしく昼間でも照明を必要とし、このホームから出発していたおもな列車が実は最後に残っていた青森行の普通列車だったり、人気の夜行急行だったという次第で、旅の出発点として印象深かったもの。東北新幹線の開業以降などでもはや上野駅は長距離列車の始発駅でなくなりつつあり、次第につい最近の出来事も彼方へ去ろうとしている。そんな光景を書きとどめておきたかったというわけ。